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365日のシンプルライフのrinのレビュー・感想・評価

365日のシンプルライフ(2013年製作の映画)
4.0
深く掘り下げていくとそもそも「家」とは何なんなのかという話なるけどそれは一旦置いておいて、モノとは何か。

主人公もそうだったように、まず服。芸術分野では服は家の縮小、そして家は服の拡大だとされるように、外的から身体を守るという意味で家と同様に重要なもの、特に現代社会では。私でも服を先に選ぶ。冷蔵庫も必要だな、フィンランドのような極寒の地のようにはいかない。

途中、携帯を持たないから友達と連絡が取れなくて、「友情を大切に思うなら携帯を持つはず」と言われるシーンがあった。これ、考えてみると凄く面白い。携帯が無かった時代には出てくるはずのないセリフ。携帯が普及した世の中ではいつでも友達や家族と連絡を取り合えることが友情を維持する一つの基準になるというのが、まさにこの映画で語られる「モノに支配される」と言う状態な気がした。

おばあちゃんの家を処分する前に、その家の中で欲しいモノを選ぶシーンは、「おばあちゃんが居なくても、おばあちゃんが使っていた"モノ"がある事でその存在を感じることが出来る」とも取れる一方で、「おばあちゃんが居なければその"モノ"は意味が無いように見える」ようにも感じた。
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