riiko

VHSテープを巻き戻せ!のriikoのレビュー・感想・評価

VHSテープを巻き戻せ!(2013年製作の映画)
4.0
えらいもんを観た。

「VHSテープを巻き戻せ!」
エアロビやギタリストのプレイシーンを繰り返し観て練習するとか、
「巻き戻す」いう概念が生活そのものに変化を与えてきたんだな。

基本的に巻き戻して観るから、ホラーとかAVのここぞっていう再生回数の多いシーンは線が入っちゃって観れなくなる。
VHSは鑑賞者の足跡が残るんだな。
そういう苦悩もまた次世代機器に繋がっていく事実が熱い。

誰でも手軽に何度でもっていう理想を追求した結果、時代はとっくにストリーミングになったわけだけど、
映画が誕生してからまだ100年程度なのに、対応機器の問題ですでに数千本の作品が観れなくなっているらしい。

配信されているものって一部の権利者が選んで配信しているわけだから根本的には映像黎明期の自由さには敵わないよな。
メディアの発達と共に消えゆく作品たち。
映像のユートピアどころかディストピアに程近くなってるという。

「鑑賞体験としてはストリーミングのほうが断然良いが、
VHSで観るということはその人のVHS体験を呼び起こすということ。」  

このセリフもすんごい分かる。
友達と借りに行ったウェアハウスでの思い出とかまざまざ思い出すもん。

なのにこの作品自体はサブスクでしか観れないってどんなアンチテーゼなの、、、

いやでも面白かった。
VHSマニアたち、面白すぎる。
ナードがこぞってVHSのタトゥー彫っちゃって、愛しさへの表現がそれこそVHSよろしく擦り切れていて痛々しいぞ。

押井守が終始何言ってるかわかんないところを差し引けば、ドキュメンタリーでこんなワクワクしたの久しぶり。
だれか観て。そして語って。
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