まちだ

こっぱみじんのまちだのネタバレレビュー・内容・結末

こっぱみじん(2013年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

面白かったです。

田尻監督が子供の誕生を機に感じたこと、
”人生うまくかないことばかりだけど、幸せ”というテーマがこのお話の筋。

主人公の楓は幼馴染の拓也に思いを寄せています。
しかし拓也は楓の兄隆太を好きで、隆太の彼女有希は実は浮気をしています。
よくある矢印が交わらない系の話なのですが、繊細な心のひだまでフィルムに焼き付けられていて、見る者を唸らせます。

主演の我妻三輪子、良い役者さんですね。
インタビューをみると、「楓のことが嫌い」とか「人を殺す役、殺される役がやってみたい」とか言っていて結構ピリッとした人で、役柄とのイメージの違いに驚きました。



この映画は、”思いがたとえ成就しなくてても、幸せ”という感情を描いています。


思いがこっぱみじんに砕け散ってもこの恋に、この思いに胸を張れる、そうやって登場人物たちは前を向いて行きますが、その真っ直ぐな姿に胸を打たれます。

またこの映画ではゲイの恋愛も描いているわけですが、単にお話の要素としてマイノリティのエピソードを入れるような映画は腹がたつのですが、この映画は丁寧に描いていて好感が持てました。

隆太に振られた拓也に胸を痛め「つらかったよね」と声をかける楓に拓也はゲイだからといって同情するなと冷たくあたります。

世間の偏見の眼差しに傷つき、隆太から拒絶される恐怖にとりつかれていた拓也でしたが、後々”男性が男性を好きになることも決して特別なことではない、人が人を思う気持ちに変わりはない”という楓や隆太たちの視点に拓也は救われます。

この映画に貫かれているのは、”誰かを真っ直ぐに思う気持ちに誇りを持とう”ということなんじゃないかなと思いました。

そしてそれは、”この人を好きになれた自分を好きになれる”ということ。
だからこそ、
「上手くいかなくてもなんか幸せ」なのでしょう。
まちだ

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