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http://cinemaguide.hatenablog.com/entry/force-majeure
これは面白い。誰しもが根底的には拭えていないであろうジェンダーやそこから派生する役割を押し付け合い、傷つけあう様子はまさに黒い喜劇といったところで、仕事中毒の父を説得して５日間の冬休みにきた家族が、一瞬の出来事を契機にグズグズになり、その後の数日と周囲の人間関係にまで影響を及ぼしていく様は文字通り雪崩式である。
何度か挿入される超俯瞰ショットはロケーションの勝利で、スキー中の家族を移動しながら平行に、ほとんど振動もなく等速に写し取るショットも、驚くほど滑らか。また、家族の泊まる一室のドアを微妙に寄りながら撮るカメラには怪奇映画風のハッタリ感があり、クラシック音楽の断片は悲劇と喜劇のあいだで空虚かつ大仰に鳴り響いている。
いわゆる「オチ」の部分に関しては、ムキになって母を責めるのも空しいかな、もはや誰しもが共犯者だという表情での開き直りの大行進が行われ、「やられたよ」と言いながらただ笑うしかない。そしてたった一人の「勝者」は、捨て台詞もなくただ沈黙をもってあざ笑うかのようにその場を去っていくのだった。
