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フレンチアルプスで起きたことのAirconのレビュー・感想・評価

3.7
フレンチアルプスでのスキー旅行に来たスウェーデン人家族。
眺めの良いテラスでの食事中、人工的に起こす雪崩が多少大きくなりテラスまで飲み込まれるのではとパニックになる客たち。
子供を置いて全力で逃げるパパ。
何事もなく雪崩は終了し、笑いながら席に戻る客たち。
ドン引きする妻。
失望の子供たち。
その後からの家族のコミュニケーションはどうなってしまうのか。



スウェーデン人のファッションとか歯磨きとかパジャマの画一感すごいな。
統一されたシンプルなデザインや色合いで、もはや配給品感すらある。

この妻の向き合い方は正しいと思った。
日本ではありえない夫婦の対話。
日本では空気の読みあいで、なあなあで済ませるところをちゃんと合意形成まで持っていこうとする。
夫婦がお互いに他者だと思うのならそういうことを重ねないといけない。
同質の日本では「相手が自分のことをわかる」とお互いに思っているからこそ、決定的な違いを見つけてしまったときに、すべてが崩れる。
もしくは我慢する、それしか解決策が無い。

ここに来てから友達になった女性とエバとの会話もすごい。
人の人格を否定するなら場所を選ばないといけない、やる気?というので一回落ち着かせるのホントうまいしまじめ。
日本だったら権力差で一方的に人格否定がOKだったり絶対NGだったり、それだけ。
なんならOKな相手ならナチュラルに人格否定がくる。
それか、言いたいことも言えない。
空気を読んで。

旅行って必ず高負荷な状況になるから、結婚前のカップルにはとくに海外旅行を勧めるんだけど、やっぱりそういう状況だとその人間の本性は見えやすい。
成田離婚みたいな言葉もあったらしいけど、そういう負荷をこれから協力して乗り越えていかないといけないのが結婚なのだから、海外旅行は予行練習的な負荷としてはちょうど良いと思ってる。
ただし、別れる確率は上がるので一概におススメはできない。

詭弁で自分のやったことを逃れようとする夫。
妻もけっこうキテる。

でも、人間は日によって神経伝達物質とかの関係で同じ現象でも怒り80だったり怒り50だったりくらいは平気で違うので、あんまり自分の感情を絶対的に捉えすぎないのも大事。
だからこそ相手を大目に見るということも大事。

しかも、怒りというものは説得力にもなるし動機にもなる。
つまり、怒りを名目のひとつの意味として処理するべきではなくて、たいてい真意が別にある。
今回はめずらしいパターンな気がする。



好きなタイプのやつだった。
だけど論点は好きなんだけど、解決や咀嚼が多少素朴すぎたかも。
『雪の轍』ほどお腹いっぱいにはならなかった。

ただこの妻の向き合い方は素晴らしいなと。
人間関係を、ヒステリーや暴力、または空気や我慢によって成立させることなく、適切な態度だと思う。
違う人間なのだから、お互いに違いがあるし、その違いに対して譲れないものも出てくる。
そういうものに対して対応を迫られたときに、この対応をとれるのは、真剣にそういうことを考えてきたのか、北欧はそういうところまで教育してるのか。

ジャンル:スポーツ!?
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