せーじ

フレンチアルプスで起きたことのせーじのレビュー・感想・評価

3.9
ちらほらと色々な方面で「面白い」と聞いていた作品。ちょっと気になったので、レンタルして鑑賞。

この作品、かいつまんで雑に説明するとこんな感じだろうか。

いっけなーい、殺意殺意!私エバ、二児の母!ずっと仕事漬けな旦那と、家族四人でスキーをしにフレンチアルプスに来ちゃったの☆でもレストランで食事をしていたら雪崩が迫ってきて大変!子供を守らなくっちゃ…ってあなた~!?!?
次回、「はよ全部認めろや」お楽しみに☆

ストーリーは「かぞくへ」と似たような「腹を割って話そう」(水曜どうでしょうより)案件だと思うのだけれども、こういうしょっぱい出来事を"なかったことにしてしまおうとする"のって、日本人以外でもやるんだなぁと妙な関心をしてしまったり。展開としては、妻のえげつない追及で裸にひん剥かれた旦那が赤ん坊の様に泣き喚いた挙句、最後にはキチンと自分の力でケジメをつけて仲直り☆と思いきや…というところで終わったのがなんともシニカル。
また撮影では、固定カメラでの長回しを多用するという、冷めた視点で、けれどもありのままの彼らの様子を見せつけていく。それがまた、演者は終始真面目で抑えめな演技なのに、一周回ってシュールなコントを見るようなおかしさが漂っているように見えるのが面白い。撮影構図とカットバックも周到に計算が行き届いており、大仰で不穏な劇伴音楽とも相まって、独特な雰囲気を与えている作品だと思う。

ただ残念だったのが、子供たち二人が夫婦二人のトラブルにあまり連動して入り込んでこなかったこと。「あの出来事は子供にとってもショックで失望していた」と描くつもりなのかな…と思いきや、その後は別に普通な感じだったのが個人的には不満だった。妻VS夫という構図を作りたくて、子供たちもそのなかに含めてしまうと話が複雑になりすぎてしまうというのはわかるのだけれども、もう少し気の利いた演出をやれたのではないだろうかと思ってしまった。それかもしくは、一家四人ではなく恋人同士でのグループ旅行の話にするとか。

いずれにしろ、家族であってもきちんと自分の非を認めて謝るのって大事なことだよな…と思った作品でした。
面白かったですが、自分は家族で雪山には行かないかな…
せーじ

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