2008年に韓国で実際に起こったナヨン事件が軸になっている本作。
当時8歳の女の子の身に起こった、とてつもない悲劇。
Wikipediaで『ナヨン事件』を検索すると、その字面を見るだけでも耐え難い記述が多くある。
その事件について、実は何も知らず観始めた私。
オープニング。
どこの家庭にでもあるような慌ただしい朝の風景。
父と母、娘の何気ないやり取り。
いつもと違っていたのは、雨が降っていたことぐらい。
その後場面転換し、映し出された娘ソウォンの姿を見て私は息が止まった。
事件の凄惨さに大も小も無いが、個人的に残虐性という部分では『トガニ』を超えている気がした。
父親役のソル・ギョング、母親役のオム・ジウォンの実力は言わずもがな。
娘ソウォンの同級生のぽっちゃり男の子とその両親を演じたキム・サンホとラ・ミランの真っ直ぐ突き刺さる表現力には賛辞を贈りたい。
今まで観てきた実話ベースの韓国映画にはあまり無い、クスッと笑えたり心和むシーンが多くあり、ただただ残酷な物語だけではないところが本作の素晴らしいところであり救われる部分。
なのに満点スコアに出来ないのは、犯人に下された量刑に対する途方に暮れるほどの気持ち悪さ。
でも作り続ける韓国は、やはり素晴らしく建設的である。