ピロシキ

フットノートのピロシキのレビュー・感想・評価

フットノート(2011年製作の映画)
3.5
老いてなお、うだつの上がらない父親と、チャキチャキ仕事して実績を残す息子。良くも悪くも、子は親の背中を見て育つものではある。この親子はいずれも同業者であるからして、とても分かりやすい対比になっている。ただこの場合、父の視点に立つか息子の視点に立つかで、捉え方がかなり違ってくる。

長く賞とは無縁だった父親に「受賞」の知らせが告げられるが、実は本当に賞を獲ったのは、同じ苗字の息子だった。父の面目を保つために、「自分ではなく父へ賞を渡してくれ」と裏で働きかける息子の奮闘も知らず、父はインタビューで「いやぁ、息子はまだまだ未熟ですなあ」などと言ってのける。

まぁ、ジジイこの野郎!と叫びたくはなる。このあたりから後半に向けて、物語全体が息子側に寄っている雰囲気はあった。それだけに(ほかのレビュワーの方も指摘しているように)、アレやコレを経た父親が最後に何を話すのか、それぐらいは教えてくれよ、とはなった。ラストで一気に父側に寝返る可能性もあったよなあ。面白いけど、いささか消化不良です。
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