りょうた

ヘウォンの恋愛日記のりょうたのネタバレレビュー・内容・結末

ヘウォンの恋愛日記(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

日記による回想形式で語られる。ただ、寝ているショットが3度挟まれていることから、登場人物のヘウォンにとっての現実なのかという問題が宙吊りにされる。また最後の台詞が「夢で見た男は以前会った素敵なおじさんに似ていた」であることから夢と採るのが妥当だろう。また、服装、読んでいる本(ノルベルト・エリアス『死にゆくものの孤独』)も同一であることも夢と考える要因の一つになる。ホンサンスは書籍を持ち込む作品が多い。また、作品自体のテーマに関わるものも多いのではないか。次作の『自由が丘で』では「時間」がテーマであるとすると(手紙形式で順序がバラバラな時間)、今作は「死」と「孤独」がテーマになるのだろう。
ホンサンス作品に共通することではあるが、弛緩から緊張へと唐突に変化するシーンに毎回驚いてしまう。正直に話すことによって、隠し事を質問することによって、それまで和気藹々としていた場が一瞬にして緊張に包まれる。その差に思わず息をのむ。これは作品同士での俳優の描き方にもみられることで、今作でヘウォン(チョン・ウンチェ)とアメリカで教授をする男性(キム・ウィソン)は和やかな雰囲気でお互い惹かれ合う男女として描かれているが、1年後の『自由が丘で』の二人はまさに弛緩から緊張のシーンを演じ、汚い言葉で罵りあう。これは意図的にそうしているに違いない。二人の間の和やかな雰囲気を期待している観客に対してのいい意味での「挑発」であるとも言えそうだ。
ズームイン/ズームアウト、そしてパンショットなどが今回も多数みられる。後に洗練されていくであろうホンサンスの方法論の一つであろう。この世界を見ているのはカメラであると意識する。
●煙草への過剰な言及 
●登場人物としての映画監督(と女優)。不倫を描く (キムミニとホンサンスの関係を想起してしまう)
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