deenity

テロ、ライブのdeenityのレビュー・感想・評価

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
4.3
『チェイサー』や『神と共に』などでお馴染み、大人気俳優ハ・ジョンウで一作品持たせたようなワンシチュエーション物。
もちろん設定もなかなか面白く、ハ・ジョンウが務めるラジオ番組に一通の電話がかかってきて、「今から橋を爆破するぞ」という脅し文句。相手にしないでいると、実際に爆破が起こり、テロリストとの電話を軸にリアルタイムでどんどん進んでいくストーリー。

結構ワンシチュエーション物にしては見応えあるシーンとか多くて、チープな作品にはまるで見えません。また、冒頭からいきなり爆破が起こり、そこからリアルタイムで進んでいく緊張感ってのはかなりのもので、内容としてもかなり面白いと思いました。

それにしてもやはり本作のテーマは現場から離れた所にいる国家や警察の対応ってことになるんでしょうが、犯人の言う通り、求められている要求はごく些細なものでしかないのにも関わらず、それすらできない政府。人命などどうでもいいと言わんばかりに出席第一の上司。
そしてそもそも主人公であるハ・ジョンウさえ真人間とは言えませんね。自分の行いから目を背け、キャスターに復帰することだけを考えている。

人間の欲やプライドの醜さというものを突きつけられて、テロリスト側に共感してしまうような作りは見事。ただただ苛立ちが募りますね。

ラスト、全てを捨て去って初めてハ・ジョンウがスッキリするような行動を起こしてくれますが、もっと早くに正直になってくれよって思いもありましたね。自分の過ちを認めることって勇気がいることですし、これがある意味人間らしさなのかもしれませんが。国家に一太刀も浴びせられない歯痒さがありました。
と思っていたのですが、フォロワーのレビューを読ませてもらったらあのシーンってそういう意図があったんですね。あの先にある物が標的だったとは。おかげでスッキリしました!
deenity

deenity