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アデライン、100年目の恋の東京キネマのレビュー・感想・評価

アデライン、100年目の恋(2015年製作の映画)
4.0
もうさあ、いい加減、ネタバレ・タイトルは止めてよ。原題は「THE AGE OF ADALINE」だし、100年というのがキーコンセプトなんだからさあ。。。とは言え、不老不死は幻覚でしたの100年一代記、という基本設計はどうも破綻しているようなので、まあ、いいっちゃいいんですけどね。。。(笑)

撮影もいいし、皆さんいい芝居をしていて良い映画ですよ。でも、ブレイク・ライブリーは29歳には見えないなあ。これ、重要なポイントなんですよ。おそらく本当は24〜25歳くらいで成立するお話ですから、ブレイク・ライブリーの実年齢に合わせて修正したってことなんでしょうけど、アングルによっちゃあ40歳くらいに見えちゃうのよ(泣)。それも実に美しい女優さんなもんで、連想するもんが色々複雑になっちゃうんですよね。

話戻して、この映画の着眼点が良いのは、永遠の命が幸せにならない、って所です。自分のお婆ちゃんくらいの年齢にしか見えない娘とのランチの場面(なかなかいいシーンです)。

“愛する人が欲しくないの?”
“でも将来がないもの”
“まさか、、、将来しかないわ”
“二人で共に老いていく将来のことよ。それがなければ愛は辛いだけ・・・”

いやあ、そっちかい!(笑) むしろ、本来なら人生打ち震えるほどの恋愛体験があれば、それだけでもうツーマッチってのが本来だろうとは思うのですが、本当にキリスト教徒は欲深い。三島由紀夫じゃないですけど、最終的には仏教の唯識論的なものに向かって行くことでしか絶対の幸せはない、ってのを期待したんですけどね。だって、100歳のおぼこ娘のシンデレラ・ストーリーだとホラー映画にしかならない訳で、それじゃあおぞましいだけです。つまり、愛なんてのは、感覚の記憶だけの問題ですから幻覚なんです、むしろ愛なんていう実態のないものを追いかければ追いかけるほど愛は消えていきますよ、ってことじゃないとね。。。

人生の最終目的は愛の確認、それとハッピーエンド、この二つはハリウッド映画のレゾンデートルみたいなもんですから、仕方ないとは思うのですが、既にこのメソッドで100年間も走って来たわけですから、構造的疲労破壊も起きている訳で(だって、現実に合わなくなってるからファンタジーにしてるんでしょ?)、そろそろ根本的なフォーマット替えを期待したいもんです。。。
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