一人旅

マフィアは夏にしか殺らないの一人旅のレビュー・感想・評価

4.0
ピエルフランチェスコ・ディリベルト監督作。

1970年代のシチリア・パレルモを舞台に、同級生の女の子に恋する少年の奮闘の半生を、血で血を洗うマフィアの抗争を背景に描いた異色の“青春+マフィア映画”の快作です。

ヒロインの女の子との恋を成就させようとあの手この手で奮闘する初心な少年の瑞々しい初恋青春物語に、シチリアで暗躍するマフィア同士の抗争や反マフィアを主張する政治家や軍人等の実際の暗殺事件を絡めて描いた作品で、少年と女の子の恋の青春譚に、マフィアが活発だったシチリアの凄惨な暗部の日常を溶け込ませています。

通常のボーイミーツガール物とは趣きが異なり、少年の初心な恋の奮闘のすぐ隣でマフィアによる発砲や爆殺事件が頻発するという、シチリアの光と影が混然一体となった異色の青春ドラマで、終盤に映し出されるマフィアの犠牲者たちの実際のモニュメントがマフィア抜きには語れないシチリアの苦難の歴史を象徴しています。
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