Marrison

郊遊 ピクニックのMarrisonのレビュー・感想・評価

郊遊 ピクニック(2013年製作の映画)
5.0
完璧、でありながら特異性も高い。
欠陥が本当に本当に一カ所もない。(クーリンチェ236分版やラヴ・ディアスなんかに騙されてる人には是非これ観て真の傑作に震えてもらいたい、、なんて勝手に偉そうに言う。)
定点長回し率98%以上で、台詞が全体で百行ぶん程度も発されない。しかし、撮るべきを撮りまくってるねという納得で心地よく集中できた。不要が省かれまくってもなお、万感という名のストーリーはちゃんとあるわけで。
女児の可憐さがしばしばセンターフロント(「デカパイキャベツ」への完全リアルな笑い声も魅力∞)だった。
そもそも、髪を梳かす音かと思えたものが寝息だとしばらくしてわかり、長いその髪に隠れてた美母の横顔がいいところでやっと露わになる、そして寝返りをひたすらに(私たちに)待たせる、そんな長い長いファーストカットからして匠の技。

じつは、途中一カ所だけ、嫌いたいシーンがあった。壁画を前に、侵入してきた元妻がずーーーっと立ち尽くす後ろ姿シーン。立ってるだけじゃなく微動だにしないのが、いかにも「映画のためそうしてる」感丸出しと思え、イラッとしたよ。ほかのほぼ全シーンがリアリティー最優先(兄ちゃんのパンツの穿き替えを妹がカメラから隠すところはまあ仕方ないけど)だったのに。
そしてラストの超長回しのところで、またまた妻が(今度はこっち向いて)固まっちゃって、いくら(前半の歌のところの夫に続いて)リアル泣きの一部始終をバストショットで見せてくれても「なぜ泣くのかわかんないし」とその時点で私はまたイライラ。だったらキャベツ喰い~舟の盛り上がったところでエンドにしておいた方がよかったんじゃん? 幸福時代回想部とおぼしきハッピーバースデー以降は蛇足じゃん?──────────とまで否定したくなったその時、夫が妻の肩にゆっくりと────────────あっ! そうだったのか!!!
   ▼▼ネタバレ注意▼▼
そこで初めて映った、さっきと同じ壁画! すべてを理解した私。この映画唯一の欠点だと思ってたあの長い長い長い立ち尽くし~放尿シーン(離婚後)が、この長い長い長いもっと長いラスト(離婚当日)のための最大の伏線だったんだと理解したことで、もう、この138分ものじっくり映画に一瞬のムダもムリもムラもなかったと知った私なのだった。。。。。
冒頭の夢魔(髪を梳かす女性)と元妻(子供を連れ去る女性)と終盤の回想の中の妻(涙を流す女性)とキャベツ人形の四者は、別々の女優三名&キャベツ一玉によって演じ分けられていても同一人物。もちろん時制と次元の描き分けだ。この点が呑み込めなかった人には本作の消化は不可能だろう。

my現時点での最高傑作台湾映画。