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めぐり逢わせのお弁当のエディのレビュー・感想・評価

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)
4.1
旦那への弁当の誤配送をきっかけに交流する孤独な男と女の心の交流を描いたインドのヒューマンドラマ。いい意味でインド映画らしくなくて、個人的にはかなり気に入った。

インドのオフィスワーカーはランチを外食でなく妻が作った弁当を食べる習慣があり、作った弁当を旦那の職場に運ぶ宅配サービスがあるようだ。

定年間際の孤独な保険会社員サージャンは妻を亡くしていたので、今は職場近くの宅配弁当屋に仕出弁当を頼んでいたのだが、あるとき素晴らしく美味しい弁当が届いたので感動した。弁当屋が作ったのだと思っていたのだが、数日続いたら弁当の中に手紙が入っていた。

その手紙を書いたイラはこの映画の主人公で、冷え切った夫婦関係を改善しようと凝りに凝った弁当を作ったのだが夫の反応が全くないので、おかしいと思い手紙を入れたのだ。
そんなことがきっかけでイラとサージャンは弁当を介しての手紙のやり取りを始めるようになった。。。

インド映画って大味なのを幕間のダンスやコミカルなど勢いで補って作っている感じがするが、この映画は全くそんな事はない。非常に繊細な演出と脚本のお陰でストーリーの心にすっと沁みこんで来る。
後任と話したあとちょっと微笑む瞬間でサージャンの心境に変化が出たことを示すシーン、自殺者が出たくだり、弁当を待つ姿勢など些細なシーンで心の変化を丁寧に描いていくのだ。

かといって感動系一本やりでなく、泣きそうになるシーンのときに、突然「誰かが私の下半身を触っている」といったコミカルなシーンも挟むことで、手紙のやり取りだけで相手に会うことない二人を描いているのに単調さを感じさせないのはお見事。

妻が亡くなり心を閉ざしたサージャンは傍目には偏屈爺さんで、サージャンの後任として引継ぎをするジャックにも冷たく当たっていたが、イラの弁当を食べ手紙のやり取りをするうちに少しずつ彼の心の氷が解けていくようだ。
一方のイラは夫が浮気をしているようで、帰宅しても何の会話もないというまるで砂を噛む様な日々を過ごしていた。「毎日カリフラワーはよせ」のところは悲しくて切なくて泣きそうになった。せめて料理を褒めてくれるだけでも嬉しいと思っていたところ、料理を褒めてくれるサージャンと手紙のやり取りとするようになって、彼女の気持ちも少しずつ変わっていくのだ。

大人の「ボーイ・ミーツ・ガール」的な映画なのだが、二人とも奥手で手紙を介しての緩いキャッチボールが続くのでもどかしい感じもするが、見事な演出のお陰で二人の心の変化が手に取るように判る。


ラストもその後の展開をあれこれ考えてしまうような終り方なので、凄く抑制が効いている印象だ。この監督、本当に作りが上手いなと思う。

ハッピーエンドかどうか判らないけど、主人公たちにはハッピーになってほしいなと心から願った。