巡り合ってるのか、すれ違ってるのか。
踊らないインド映画と思ったら制作にはヨーロッパの方も関わってるんですね。心は巡り合ってるのに、この2人の物理的な距離は遠い。古式ゆかしく、味気ないメモパッドで手紙を交わす。いつか2人でブータンに行けたらいいねなんて、約束とも夢物語ともつかない言葉を送る。会ったことも声を聞いたこともないのに。
日々の孤独のふとした隙間に入り込んできたケータリングのお弁当。手料理って愛なんだよね、既に。70億人いるというこの地球で、こんなドラマがあってもいいかもしれないと思わされました。
主演の俳優さん、今年の4月に突然亡くなられました。『ダージリン急行』等で見かけていて、静かな知性を感じさせる佇まいが好きでした。寡黙ながら物語に奥行きを与える演技。本作でも、頑なな初老の男性が徐々にほぐれていく様を見事に演じておられます。