倉科博文

キョンシー/リゴル・モルティス 死後硬直の倉科博文のレビュー・感想・評価

2.6
「フレディーvsジェイソン」や「貞子vs伽倻子」に胸躍らせることが出来る童心を持った方には堪らない大好物でしょう

制作には「呪怨」の清水崇、キャストには「霊幻道士」のオリジナルメンバー
往年のキョンシーの設定と、括弧つきの「Jホラー」のインパクトが合体したワクワクドキドキの一作でした
括弧つきにしたのは、あくまでもその元ネタが「呪怨」以外の何物でもないため
1988年の「邪眼霊」を源流とし、1998年の「リング」で一つの完成をみたとされるJホラー表現は、心霊的な恐怖演出を極限まで理論的に研ぎ澄ましたものです
その文脈の上で「呪怨」という存在は、このJホラー表現を土台として、変化球かつ亜流のものであるので、その演出を今回のように別の設定上に移植すれば、心霊的な恐怖を前面に出したホラーとしては成立しないであろうことは清水監督も承知の上でしょう

つまり、この映画はホラーとして見るものではなく、かといって高度なアクションを担保できるわけでもないので、やはり冒頭に挙げたようなモンスターもの、むしろ怪獣もの、として観るのが正しい見方であろうと思います。

その上で、目立ったアクションシーンとしては、中盤とラストの戦いが二つあげられますが、ラストの最終決戦へと雪崩れ込んでいく導入の演出は流石
やはり清水崇監督はアクション映画監督ではないですから、アクション自体は極めてシンプルで、構図そのものの見せ方で勝負した感じでしょうか
個人的には、間違いなく今作で最もアガるシーンで、何度も見たくなる高揚感に溢れたシーンとなっていました
アクションシーンそのものよりも、環境演出が素晴らしかった
「Jホラー」的な映画文法から、モンスター映画の文法に切り替えてのシーンには胸が高鳴りましたでした

でも、あのエンディングはダメだって!
本来、3.8点あげても良かったのですが、ラストでマイナス1点!
てか、気持ち的にはマイナス1万点!