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ブラック・スキャンダルのodyssのレビュー・感想・評価

ブラック・スキャンダル(2015年製作の映画)
2.5
【実話だそうだけど、出来はもうひとつ】

アメリカのボストンを舞台に、実在したギャング(ジョニー・デップ)と州上院議員であるその弟(ベネディクト・カンバーバッチ)、それにギャングと幼なじみのFBI捜査官(ジョエル・エドガートン)をメインにしたストーリー。ギャングとFBI捜査官がつるんで・・・というあたりが筋書きの中心になっている。

実話をもとにしているらしいのだが、日本人からすると必ずしも分かりやすくないし面白くもない。ギャングが犯罪行為をすると、彼と癒着したFBI捜査官がそれを隠蔽したり擁護したりする――その繰り返しなのだ。

アメリカでは古都という位置づけのボストンは、北部地区でワスプの上流市民たちが暮らし、南部地区にはアイルランド系の貧しいカトリック市民が住んでいた。ギャングもそういう背景から出てきているわけで、ワスプとアイルランド系の、上流市民と労働者階級の対立をもっとしっかり描いて、ギャングが貧しい労働者たちから心情的に支持されていたことにも触れていれば、説得力の高い面白い映画になったのではないか。
要するに、作り方がうまくないのだ。

ジョニー・デップがこれまでとは違って、薄い髪をオールバックにした、老けた悪役を演じている。ただし、このキャスティングが成功しているかどうかは微妙。また、カンバーバッチは明らかに役不足、つまり俳優の力量に対して役柄が軽すぎる。

なお、カンバーバッチが上院議員というのがよく分からなかったのだが、私が上院議員といえばアメリカ全体の議員だと思っていたからで、後で調べてみて、州にも上院と下院があるのだと知りました。
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