最近すっかり悪役が板についたジョニー・デップ御大の、演技力自慢大会みたいな映画である。
家族や子供と話しているときの自然な感じが、ジョニー・デップとしては腕の見せ所なのだろうが、悪いほうの芝居としてはジョエル・エドガートンの奥さんをいじめに来るところが印象深かった。銃を撃ったり、娼婦を絞め殺したりというのは、まああまり演技力を発揮できないので、ここぞという感じでお芝居されてます。
あの特徴的な髪形は当然ジミー・バルジャー本人を真似たものであるが、映画の中の20年ぐらいの間ずっと変わらないのが不自然な感じ。徐々に禿を進行させるとかするべきだったのではないだろうか。
ジョエル・エドガートンはあんまり良いところがなく、彼の特徴であるところの労働者階級出身っぽさと隠し切れない繊細さみたいなのは、あんまり描かれてなかったような気がする。カンバーバッチのビリーに至っては、上品すぎてあんまり話にかんでこない感じ。
原作のほうが、カソリック帝国ボストンのどろどろした人間関係とかもっと書いてそうだし、読んで面白いのではないかと思われる。