このレビューはネタバレを含みます
映像としては良かったが、原作に衝撃を受け、
そこから映画を見た身としては不満が残った。
特におばあちゃんが毒薬を入れるよう頼んだシーンではおばあちゃんと兄弟の葛藤が余りにもあっさりと書かれていたために、彼らの間に生まれていた母親以上の愛着のようなもの、もしくは信頼のようなものが、まるで見えなかった。
膨大な、すべて意味の濃いエピソードを映画という時間の中に収めなければいけないということは分かっている。
が、それにしても場面の取捨選択と並べ替えにはもう少しやりようがあったのでは、と思わざるを得ない。
何より、原作の日記を中心とした構造、仕掛けが全く無視されている(邦題の悪童日記、という言葉によって日記を重要視しすぎているのかもしれないが)ように思える。
感情を削ぎ落とすことを、
そのまま薄く再現するのではただの映像集でしかない。
戦争の怖さやおばあちゃんの怖さ、
子供の無垢さなどと言うものは全て日記の上のことでしかないのに、
この映画や原作がそのまま戦争への恐怖等を描いた作品だと思われてしまうのなら何か違うんじゃないか、と思う。
最後の会話も余計なように感じた。
衝撃を薄める必要がどこにあったのだろうか?
兄弟の絆の強さが描ききれていない状態ならこの別れの方が評価は高いのかもしれませんが。
にしても双子のビジュアルは本当に完璧ですね。普通に過ごしていれば天使のようなのに、恐るべき頭脳を抱えた不良の目。
この2人と全体的な映像は非常に良かったです。