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メビウスのhinaobaのレビュー・感想・評価

メビウス(2013年製作の映画)
3.7
映画において重要な表現媒体のひとつである台詞を、あえて一切排除した挑戦的な作品。

キム・ギドクの映画はどぎつくて重苦しい内容なのに、これ真面目なの?コントなの?みたいな滑稽さがあって、そこがクセになる。わたしの鑑賞態度が間違ってるのかもしれないが、こんな倒錯的な気色悪い内容なのに、なぜか笑えるシーンが続出(笑)。台詞がまったく無くストーリーが展開していくので、しゃべってはいけないコントを観ているようでもあった(笑)。

個人的には芸術作品とも駄作とも言えず…「珍作」という表現が一番しっくりくる。

内容はギリシャ悲劇のようでもあり、深読みしようと思えばできるが、一見深いようで浅いようでもあり、微妙。しかし台詞なしでまったく退屈させないのはさすがとしかいいようがない。

妻と愛人という、タイプも見た目もまったく違う2人の女を演じていたのが実は同じ女優さんだったと後で知って、女優さんてすごい!女ってこわい!と思った。
この配役もまた「メビウス」(表裏一体、無限)というテーマを暗示するためのものなのか。妻に飽きてまったく違うタイプの女を愛人として選んだ男が、実は本質的に同じ女を選んでいるという皮肉。
いまだにあれが同一人物とは思えない。イ・ウヌ、すごい女優だ。