けーはち

グッド・ライ いちばん優しい嘘のけーはちのレビュー・感想・評価

3.9
1983年からの内戦で、国を追われたスーダンの難民たち(ロスト・ボーイズ)のうち、十数年かけて受入先のアメリカに移住することになった、とある兄弟を中心に描く映画。笑いあり涙ありで「ああ、良い話だね」と掛け値なしに言える。

★起承転結の「起」部分が最も重い。スーダンにおける内戦難民の足取りを丁寧に残酷に追いかける。200万人が殺され、難民が400万人、両親や家族を失ったロスト・ボーイズと言われる子どもたちは10万人。彼らはまずエチオピアへ逃れて追い返され、ケニアまで歩き難民キャンプに辿り着く。

★中盤からはカルチャー・ギャップ満載、希望もあれば葛藤もある、面白ドラマ展開。電話も知らない、車に乗れば即酔う、牧場で「猛獣はいますか」と尋ねるといった、トンチンカンなアメリカン・ライフを送るロスト・ボーイズは面白いが、そればかりではなく、アメリカ人が普段は当然のものとして意識しない「就職面接では自己アピールのため嘘をつく」「スーパーで賞味期限切れの商品を即座に捨てる」など日本人も馴染み深い現代の欺瞞や無駄を、アフリカ人視点で誠実かつ素朴に説教じみないよう、つついてくる絶妙なバランス。

★主人公のキャリー(リース・ウィザースプーン)はカンサスシティの職業紹介所の職員で、ロスト・ボーイズに仕事を紹介する。最初は常識のない彼らにイラついていたものの、思いがけない友情が生まれ、彼らのことを知り、どんどん親身になって行く。気は強くて情に厚い、アメリカの善意代表という、アラフォー女性の貫禄ある演技。

★タイトルの「グッド・ライ」の回収はラストで行われるが、良い意味で想像を裏切る締めだった。スーダン人がスーダン人のために行う、アメリカ人が教えた優しい嘘。