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グッド・ライ いちばん優しい嘘のkanegoneのレビュー・感想・評価

3.7
自分が難民になる可能性はあるか?

全くないわけじゃないかも、なんて思う。

難民はホームレスより辛いか?

考えただけじゃよくわからない。

ただ、他人と自分を比較する余裕があるぶんだけ、ホームレスの方が辛いと「感じる」かもしれない。

戦争難民になったばかりの気持ちのままで生きられたら、命と平和があるだけで幸せかもしれないが、それはつまり悟ってブッダになるということだから、言うほど簡単なことじゃない。


アメリカの支援プログラムでキャンプを出た難民たちは、あまり選択の余地がないままアメリカでの生活適応を求められ、「アフリカから来た若い衆」の一人目、二人目・・という感じの雑な扱いを受けながらも真摯に奮闘する。

この映画では、実際にスーダンで難民になった子たちが役者を務めているとのことで、映画でありながらリアリティがすごい・・。

マクドも電話もゼリーを見るのも初めて、という生活ってどんな感じだろう。それで仕事に就くって、すごいことだ。

スーダンから来た難民たちの倫理観の美しさもあって、アメリカでの支援者も献身的に彼らを支えるようになるが、一方で環境に適応できたがために「底辺という自覚」を持つ彼らの姿も描かれる。

たまたま先進国で暮らしている私たちに、多くの教訓を与えてくれる映画。私は好きです。
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