拓風

海街diaryの拓風のレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
3.8
見方によっては何も起こらない映画。

でも何も起こらない様な毎日に何かは潜んでいて、何も起こらないのは、何も起こらない様に努めている人がいるからなのではないかと言うことを感じさせる映画。

映画の細部に何かしらのひっかかりはあちこちにあり、それは受け身で待っていると逃してしまうかもしれない。

大きな事件が起こらない映画の作りや、のどかに見える画面の中にそれらを自然とちりばめて、ただ眺めても心地よい映画としても成立してる。

主人公の姉妹は旬の人たちで、アイドル映画としても観られる。
原作は知らないのでわからないが、いかにもあざとい感のあるシーンはあった。
でも、特にそれぞれの個性を持つ姉妹の中で、本当にしっかり者に見える綾瀬はるかと、もうその瞬間、この映画しか出せないような中性的な子供っぽさを残した広瀬すずは特筆に値する存在だった。夏帆や長澤まさみももちろん素晴らしかったけど。

映画としては家族という定義についてというテーマもあるんだろうと思うけど、個人的には普通の日々に見える毎日の愛しさ、それを作りあげる人々の思いへの愛しさを感じる映画だった。

エンディングを観ながら、来年も再来年もあの姉妹が同じように過ごしているかはわからないし、いつまでも続く暮らしではないだろうとは思うけど、今その瞬間があることで温かい気持ちになれた気がする。
拓風

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