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オマールの壁のjun2kmのレビュー・感想・評価

オマールの壁(2013年製作の映画)
4.0
パレスチナ西岸地区を舞台にした物語。
非常識と言われるとは思うけど、街並み、建物、道、家屋、土地、空、緑、空気、光、影、、、映し出されたもの全てが美しい。
こんなに強い色彩が閉じ込められた映像を見たのは、あまり記憶にない。いや、そうやなくて、この物語の主題から逃れようとして、たぶん風景にのみ意識を集中させていたからでしょう。でも、なんて美しい景色なんだろう。
そして、いつも思う。人を撃つ銃よ、消えてなくなれ。
そやけど、それは世界の多くの人達にとっての生きていくための規準とは、かけ離れているんだろうな。もし、この地に生まれていたら登場人物達のように銃を手にして戦ったり、信条とか規範のために、愛する人と別れることを選んだりするんだろうか。いやいや、それも私の、この地に対する誤解とか思い込みなんだろう。映画に描かれているのは、実在の世界のようでも仮想の話。見たものを、そのまま鵜呑みにしては危ない。
人を信頼して何事にも恐れることなく、確かな心で美しく生きるために、猜疑心と闘いながら不確かな心で人を信頼する登場人物達。猜疑心は何度でも大きくなるが、信頼は違う。違うけど、この二つの根は同じなんだろうな。少なくとも、私は猜疑心を抱かなくて済む社会で暮らしているので、幸せだ、、、?
「考える」ことをするために観ようと思った映画です。だから、夜中の1時6分だけど考えている。でも、私がここで考えることが何かに繋がるんだろうか、、、。
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