レオピン

オートマタのレオピンのレビュー・感想・評価

オートマタ(2014年製作の映画)
3.5
古くからある意識を持ったロボットの反乱。AIが意思を持ち命令に背き始めるまで。
舞台は2044年、シンギュラリティ到達予想の2045年の1年前だ。太陽光フレアによる異常気象によって地球環境は激変し97%の人類は死滅。地球人口は300分の1以下、2000万人に。
残された人類はロボットを生産して活路を見出していくのだが、、、

人類の目論見は外れ、かつて期待の新技術のロボットも今やスラム街に捨ておかれ貧民同様の生活を送っていた。

あの汎用型ロボットの名前「ピルグリム」とは、ラテン語で異邦人、もしくは放浪者を意味するそう。

細かい設定はよく分からんがロボットの頭部からカーネルを取り出すイメージが目を引いた。そっかまだ電源の制約があるのか。あの原子力電池という球体のギミックは本当にあるらしい。完全な自立電源が成立した後の世界はどうなっちゃうんだろうか、ちょっと恐ろしい。

中盤以降、バンデラスがロボット達に無理矢理、砂漠地帯へ連れて行かれるところから一気につまらなくなった。大体これ映画あるあるで、砂漠が舞台の逃避行のシーンで退屈しなかった試しがないよ。『マッドマックス3』しかり、『漂流教室』しかりw

追っ手の男たちは、なんだかロングコートにショットガンという見慣れた出で立ちでロボットに比べて急に精細を欠く。もうちょっとこの辺りのバランスがどうにかならんかったのかな。ブレランらしい酸性雨やネオンサインのサイバーパンク風もチラホラあり、SF設定のせっかくの引きが、いつもの例の見慣れたもののせいでなんだかな感。最後まで振り切って欲しかった。

序盤からなぜか時折亀が出てくるなと思っていたら、最後のロボット達が自作したロボットが亀(アルマジオ)だった。
この子、ピルグリムの鈍重な動きに比べるとものすごい俊敏な動きを見せる。一応まだ攻撃能力も低くて赤ちゃんのように怯えてるだけなのだが。最後は悪いヤツに飛びかかり相手は勝手に谷底に落ちていった。この子の進化形はどうなるんだろうか。

上司役のロバート・フォスター。『ジャッキー・ブラウン』以来ね。
アントニオ・バンデラスは製作も兼ね元妻メラニー・グリフィスにも博士役で出てもらったりと色々奔走。

最後は新たな種となるロボット親子の旅立ちを見送るシーン。
プロトタイプのロボットの進化があそこで止まるというのは考えにくい。一線超えてしまったAIには禁止のプロトコルなんて全く働かない、人間を欺く方向にいくはず。やはりあれはわざと止まったフリをしていたのかもしれない。
と、こんなロボットの差別とか実存とか魂とか、やっぱりブレランは偉大でしたな。

⇒あわせて読みたい:火の鳥(復活編)のロビタ

(2019.6)
レオピン

レオピン