真田ピロシキ

オートマタの真田ピロシキのレビュー・感想・評価

オートマタ(2014年製作の映画)
3.3
生命に危害を加えず、ロボットの改造をしないと制約を与え作られたロボット。地球の砂漠化を防ぐ救世主と崇められておいて失敗すると冷淡に奴隷扱いする冒頭の白黒映像を見た時点で人類に未来はないと感じさせられる。

序盤は酸性雨が降りホログラム広告が輝く暗い街並みがほぼブレードランナー。話も通じるものがあり、2049を見たばかりなだけに古臭いSFビジュアルは退屈。あまりしっかり見ていない。人の住めない砂漠に逃亡してから徐々に興味が湧いてくる。

そこで示されるのは種としての終わりにさしかかっている人間と新たな生命種ロボットとの交代。ターミネーターのように人間と機械が支配権を巡って大戦争を繰り広げたりはしない。事情を知る極々一部の者との小競り合いを経た後にロボットは人が踏み入れられない汚染地域へと旅立って行く。未来に生き残れるのは地球環境に適応した者のみ。2つの制約を破るまでもなく、砂漠化を阻止できなかった時点でこの結末は決まっていた。バンデラス演じるジャックが娼婦ロボのクレオとダンスをするなどして人間性を教え込もうとしていてもあまり伝わっていなかったのは種として地球を引き継いでも人間を引き継ぐ存在である必要はないと言い表しているように感じた。そういう意味で人間性を重要視していたブレードランナーとは全く異なる着地点。クレオが人型の仮面を捨てるラストが象徴的。

メラニー・グリフィスが出演するもすぐに死んで拍子抜けだったが、クレオの声も演じていたとのこと。吹き替えで見たので恩恵なし。