KHinoji

虐殺器官のKHinojiのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.8
伊藤計劃の関連で3つ目に見たアニメ作品、動画配信にてやっと鑑賞。
過去に「屍者の帝国」、「ハーモニー」と見ましたが、この2作が悪い意味で子供向けアニメ作品だとすると、本作は、やっとまともなSF映画を見る事が出来たな、と思いました。
(SFストーリーの題材としては、この虐殺器官が一番アニメ映画化して、まともに見えやすい内容だったとは思いますが。)

ストーリーの中核は、人間はなぜ虐殺(テロとか)行為をおこなうのか?についてのSF的仮説と、それではこの世界をあるべき平和な世界に変えていくために、今の人間がすべきこととは何かを考えさせられるお話になっています。
主人公は、9.11以降に設立された架空の対テロ特殊部隊の一員で、この部隊員自体、テロ/虐殺行為を行う人間を平気で殺傷することが出来るように種々の制御を施してあるという設定。平和を維持するために平気で人殺しが出来る人間を作っているわけだから、そこからして既に胡散臭いわけですね。

そういう話なので戦闘/殺傷シーンが数多く出てきますし、いわゆるハッピーエンドではありませんので、そういうのが好きではない方は遠慮しておきましょう。(私は面白かったですが)

何の説明もなくさりげなく出てくるSF的ギミックに溢れており、SFファンの方にはたまらないでしょう。

SF小説なんて面倒くさいものを、まともに映像化・映画化するなんて苦労は多いけど利益は少ない超面倒なことだなぁ・・・と、普段から私は思っていますが、この映画は作られて見ることが出来て良かったと思いました。

(2019/1 Netflix動画配信にて)
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