rage30

虐殺器官のrage30のネタバレレビュー・内容・結末

虐殺器官(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

伊藤計劃の劇場アニメシリーズの中では、本作が一番面白かったです。

前半はスパイ・ミステリー、後半はミリタリー・アクションと、視覚的にも楽しませてくれるので、最後までダレずに見る事が出来ました。
他の作品と比べると、最も映像向きの作品だったと言えるでしょう。

ミリタリー描写は満足出来るレベルだったし、未来感のあるガジェットをチェックするのも楽しい。(若干、説明不足な気もしますが…)
「文法によって虐殺をさせる」というアイディアも新鮮だし、犯人の動機も意外性があって良かったです。

ただ、最後の主人公が取った行動がボヤかされていたので、何をしたのかよく分かりませんでした。
原作では、虐殺の文法を使い、荒廃したアメリカの様子も描かれているみたいですが、映画でも逃げずに描いて欲しかったなと。
「人は見たいものしか見ない」という劇中のメッセージを考えれば、「人が見たくないものを見せる」事が、原作に対する誠実な態度なのではないでしょうか?


今回、伊藤計劃原作アニメを3本見てみましたが、映像化を想定していない小説をアニメ化する事の難しさを感じましたね。
小説の分量をどう2時間に落とし込むのか?視覚的な面白みをどう担保するのか?難解な思想・テーマをどこまで噛み砕くのか?
そういった点で、どの作品にも作り手の苦労が垣間見れます。

ただ、とはいえアニメ化する事によって、これまで伊藤計劃を知らなかった層が触れるキッカケにはなったし、完璧ではないにしろ、伊藤計劃という作家の魅力は伝わった事でしょう。
逝去されているのが残念ですが、今後は本作の実写映画化も予定されているそうなので、そちらを楽しみに待ちたいなと思います。