身体に彫る、その行為、その官能のみに注力するハイブローな作品。
なぜなら、理由がよく解らない。
勿論、作劇上の理由はあるにはあるが、どうも付け足しに過ぎず、どうでも良いモノであった。そんな贅肉を全て削ぎ取ると、何故か徐々にギラギラし出す谷ナオミのオーラ。肉体を曝け出し、彫り師の刻刀に弄ばれる。そんな自分を鏡で見つめる彼女、そこに映る感情はどこから来るのかが掴みきれない。同様に彫り師の蟹江敬三も、そうだ。あの名演の狙いが掴み切れない。
彫る行為、理由なんてどうでも良い、ある種、異様な雰囲気で理由なく魅せ切る、小沼勝の実験。