【鈴木英雄はヒーローになれるのか?】
漫画アシスタントとして売れない日々を過ごしていた鈴木英雄(大泉洋)。夜勤から帰ると、同棲していた彼女が異形の姿に変貌。街には謎の感染症によりゾンビ=ZQN(ゾキュン)で溢れていた。
まずは何よりも日本映画では珍しいグロ描写をハイクオリティでやってくれたことに敬意を表したい。ゾンビ映画へのリスペクトに溢れているところも素晴らしい。
鑑賞する前は主人公が街中のゾンビをどんどん倒していく映画だと思い込んでいたが、主人公が出会った女子高生・比呂美(有村架純)を助け、山中に逃げ込むところから完全に予想を裏切られる。その後、英雄と比呂美はショッピングモールを根城にしているレジスタンスの藪(長澤まさみ)たちと出会う。もちろんここまでの間でゾンビとの格闘は何度もあるけれど、英雄は一度も最大の武器である猟銃を使わない。生き残った人たちには当然のことながらゾンビにすら銃を向けない。そう、本作は鈴木英雄がヒーロー(英雄)になるまでの物語だ。
本作を鑑賞していてある1人のキャラクターがずっと思い浮かんでいた。「ONE PIECE」のウソップだ。
ウソップと鈴木英雄は符号する点がいくつもある。
・狙撃
・人としては強くない
・臆病
・まきびし
「ONE PIECE」を読んでいて熱くなるのは、ウソップの言葉とピンチに陥ったときの行動だ。ウソップはやるときはやる男。鈴木英雄もまさしくそんな人物だ。
鈴木英雄がヒーローになる瞬間、ゾキュンに猟銃を向ける瞬間がたまらなくかっこいい。90発ほどの銃弾しかない中、大量のゾキュンに挟み撃ちされるという地下駐車場の攻防での英雄の立ち回り。かっこいい。とにかくテンションが上がる。
他にも素晴らしい点はいくつもある。
・冒頭の主人公の家の中でのゾキュンとの攻防とゾキュンの動きの面白さ。
・ショッピングモールという閉鎖空間でゾンビに追い詰められるというゾンビ映画の典型を踏襲している。
・跳躍するゾンビという新しいゾンビ像を見せてくれる。
・猟銃をまともに使えない人物の描写を入れることで主人公が猟銃を使う際によりヒーローとして際立つ。
・ラストでのタイトルクレジット。主人公がヒーローになるまでの物語として演出的にも憎いし、素晴らしい。
ただ、気になる点がないとは言えない。
・タクシーが横転した後、ゾキュン化したタクシードライバーはどこにいったのか?事故なんかで死ぬわけない。特に説明もない。
・なぜゾキュン化するのかの説明。逆になぜ比呂美はゾキュン化しないのか?
・走るタイプのゾンビなのか、オールドタイプのノロノロ歩きのゾンビなのか最後まで不明確。
鑑賞後、これらの疑問点は正直なところどうでも良くなった。主人公がヒーローになれるのかという物語的面白さ、主人公が猟銃を手にゾキュンを打つ際の展開の熱さで圧倒されたからだ。本作を観た後、脚本は誰なんだろうと思って見てみたら、野木亜紀子さん。面白いわけが何となく分かった気がした。それにしても、僕が鑑賞したタイミングのスコアが3.5だったのだけれど、あまりにも低すぎないか?
以下は個人的なメモ
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土佐犬が噛まれ重体
「英雄君、普通じゃん。普通の人じゃん」
新型感染症
ゾンビの動きがすごい。
地下駐車場の攻防
猟銃をいつ打つのか?
ゾキュンは過去の世界に生きている。
なぜ比呂美は他のゾキュンと違って人を襲わないのか?
ゾキュンは寝ない。
「あんた、かっこいいな」
英雄は法令を遵守する
東テレ(テレ東)すらアニメ放送をやめる
ゾキュン
タクシーが横転してから感染したタクシードライバーがいなかったけど、どこ行ったの?
脚本は野木亜紀子さん
鈴木英雄がヒーロー(英雄)になるまでの物語としてラストにタイトルバックは憎いし、正しい。
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