その女の人はずっとカウンターに突っ伏したまま泣いてるみたいだった。
「ゼンさん…あれ…大丈夫なの?」
「あぁ、大丈夫、大丈夫…泣きたいときは泣いた方がいいのよ…ほっといてやって…それよりさ、なんか面白い映画観た?」
ゼンさんはこの飯屋を一人で切り盛りしてるおやじで映画好きが縁でおれと仲良くなった。
このときおれがゼンさんにお勧めしたのがこの…
「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
この手の映画って良く目にしますよね😁こういうタイトルで…何かおしゃれっぽくて…そこそこ面白さが保証されてるようなラインナップ😁💦
でもおれがこの映画に飛び付いたのはなにげに監督をチェックしたからだった…
ジョン・ファブロー?
あのジョン・ファブロー?
ご存じ「アイアンマン」の監督です。そしてダニエル・クレイグのトンデモ西部劇SF「カウボーイ&エイリアン」や少年以外全部CGの「ジャングルブック」の監督!おれはどっちも大好き!
このジョン・ファブローがなぜフードトラックでサンドウィッチを売る映画?
しかも良く見ると製作・脚本・主演!ジョン・ファブロー!
えー?このポスターのトラックでサンドウィッチ売ってる眼鏡のおやじ…ジョン・ファブロー本人なの?!
つまり…これは趣味の映画だ…絶対に面白いに違いない…と思ったわけです。
そして予想通りめちゃめちゃ面白かった😁飯がうまそうに見える映画に外れなし…
食べ物はもちろんですが…SNSの恐ろしさと素晴らしさの両方が描かれている点も注目ポイントでした。
ジョン・ファブロー…あんた最高だよ😁💦
「これさ豚トロのいいのが入ったから丼にしてみた…良かったら」
ゼンさんは泣いてる女性の前に小ぶりの丼を置いた。
女性は黙って身を起こすと丼を手にとって黙々と食べ始めた。
食べ終わるとゼンさんにお礼を言って勘定を払うと…下っ腹の辺りをぱん!と叩いて
「おっしゃー!」
と言って店を出て行った。
呆然とそれを見ていたおれにゼンさんは言った。
「食い物ってさそんなに偉そうに語るもんではないんだよ…腹を満たせりゃ何だっていいんだ。でも…うまいものが折れた心を救うことっていうのも確かにあるんだよな」
ゼンさんがこんなに喋るのは珍しい…
「ゼンさん…あんたますます小林薫みたいになってきてるよ」😁💦