こたつむり

夫婦フーフー日記のこたつむりのレビュー・感想・評価

夫婦フーフー日記(2015年製作の映画)
3.2
♪ 泣かないで 泣かないで 大切な瞳よ
  悲しさにつまずいても真実を見ていてね
  そのままのあなたでいて

幸せのバター風味。
そんな作品だと思っていましたが、実は“泣く”要素を交えた物語。手触りは“ほんわか”していましたけどね。バター味ではなく、塩味でした。

但し、味付けは薄い方です。
素材の良さを活かそうとしたのか。それとも調味料で飾るのがイヤだったのか。煽るわけでもなく。そぎ落とすわけでもなく。「優しくあろう」という想いを感じました。

だからねえ。ジワリとねえ。
泣けたんですよねえ…というのはウソ。ごめんなさい。僕はヒドイ人間です。折角の“泣ける”物語なのに、主演の佐々木蔵之介さんと永作博美さんの“小じわ”が気になっていました。

劇中の役柄は20代から30代。
お二人の劇場公開時の年齢は47歳と45歳。これは地味にキツイです。しかも、冒頭は大学生から始まりますからね。かなり無理があります。それに永作博美さんは役柄的に化粧がNG。できる限り“すっぴん”でないと説得力がありません。

また、登場人物のスタンスも微妙なところ。
「やさしさ」の手触りを求めたからなのか、ヒリヒリとしていないのです。確かに慟哭も叫びもありましたけど、そこに感情を載せていないのです。

たぶん“やさしさ”を優先したのでしょう。
主人公は作家を目指しているんですが、自分のはらわたを曝け出すのか、それとも“とびっきり”のウソを書くのか。その選択を描くと肌触りが良くなかったんだと思います。

まあ、そんなわけで。
感情を揺さぶられる物語を期待するのではなく、ほんわかとした“温もり”に価値を置いた作品。世知辛い気持ちで臨むと評価が下がってしまうので注意が必要です。

あと、本作の見どころは“赤ちゃん”。
泣いたり、笑ったり、転がったり、ウチワで遊んだり。“とびっきり”の可愛らしさに満ちていました。それにしても、抱いただけで泣き止むなんて良い子ですね。うちの愚息は「寝るのは邪悪」と言わんばかりに寝なかったので…。
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