TOMMY

味園ユニバースのTOMMYのレビュー・感想・評価

味園ユニバース(2015年製作の映画)
3.0
大阪・千日前に実在する味園ビルにあるユニバースが舞台。2014年夏、大阪のある広場で行われていた「赤犬」のライブ中、突然若い男が乱入し「古い日記」を圧倒的な歌声で披露しはじめる。その男に歌うこと以外の記憶が無いことが分かるが、興味を持った「赤犬」マネージャーのカスミは彼に「ポチ男」と名付け自宅兼スタジオで働かせることになるも、男の失われた過去には大きな問題があった──。

「 ……だれ? 」

親の影響で見ていた関ジャニだったが、パッチアッパーズの面白さに惹き込まれ、エイトレンジャー2で渋谷すばるの魅力にやられてしまったため鑑賞した今作。歌のイメージが強い渋谷だが、出ている映画を見る限り演技もこなしてしまう器用な人。少し影がある人物像を演じるのが上手いのかもしれない。
さて、この「味園ユニバース」だが……ファンとして贔屓目に観てこの点数なので、正直彼のファン以外は厳しめのスコアになるのではないだろうか。つまらないというか、後半にかけての失速が残念すぎる映画。
掴み~中盤まではかなり良し。何やらワケありらしい男が刑務所から出てきて目をギラつかせていたかと思いきや殴られ、目覚めると記憶喪失になっている。役者としての活躍はほとんどないはずなのに、渋谷のこの切り替えが凄い。鏡に映る自分の姿を見て「誰?」と問いかけるその演技は、つい先程までチンピラのようだった男と同一人物には見えない。二階堂ふみの自然で素朴な演技も流石で違和感なく惹き込まれるし、ちょっとレトロな街並みや人々もほんわかと暖かい印象を与えている。渋谷の歌声も圧巻で、ポチ夫とカスミの何とも言えない関係性も見ていて心地がよかった。が、後半のシナリオの破綻がとにかく残念。ポチ夫が記憶を取り戻し、クライマックスとして盛り上がるべきところで失速するというガッカリ展開である。
まず、自我を取り戻したからと言ってすぐに不良グループに戻ろうとするのは如何なものか。それではカスミとの共同生活とは何だったのか、無意味なのか?と聞きたくなってしまう。そしてカスミがポチ夫を救出する経緯やらその後やら丸々カットとはお粗末すぎる。せめてどちらかは描くべき。これならテンプレ展開ではあるが、不良グループがカスミの方を拉致して距離を置こうとしていたポチ夫が助けに行くorやっぱり仲間にはなりませんと言ってぼこぼこにされているところにカスミが助けに来る、という方がスコアは上がったはず。勿論そういったお決まり映画にしたくなかったのかもしれないが、ならもう少し工夫すべきだった。途中までは良かったのに本当に残念。

「 しょーもな 」

ただ、ラストのライブは胸を打つものがある。まだまだ自身を取り巻く問題はあるけれど、それでも歌っている時は本当に楽しそうに笑っているポチ夫は渋谷すばるそのものと重なる。
「泥棒役者」の丸山といい、今度「羊の木」で錦戸も期待出来そうだ。関ジャニはジャニーズの中でも応援したいと思えるグループなので今後も頑張って欲しい。