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百円の恋のTSのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.5
【どん底からの拳】75点
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監督:武正晴
製作国:日本
ジャンル:ドラマ・スポーツ
収録時間:113分
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最初はどうしようもないニートであったアラサーの女性が、コンビニで働き、男と出会い、そしてボクシングをしていくことで成長していくというどん底から這い上がる状況を描いています。何をしたいかよくわからない、何のために生きているのか、ということを度々思う人にとってはかなり印象に残る作品ではないでしょうか。なんだろう、やはりボクシングというスポーツはそういう魅力を持っているのでしょうか。そしてどん底から這い上がる輩を描きますから頗る面白い。これがボクシング映画にハズレがない所以なのかもしれません。

斉藤一子は32歳になったのにもかかわらず、実家でニート暮らし。実家の弁当屋の手伝いもせずタダ飯を食ってはゲームをするばかり。痺れをきらした妹の二三子が一子と喧嘩を始めてしまうのだが。。

冒頭からのだらしなさよ。腹をかきながら甥とボクシングゲームをするその様はいかにも浮浪者。そりゃあ妹もブチキレることでしょう。追い出された一子は行きつけの百円生活という怪しいコンビニでアルバイトをするのですが、ここの店員たちもなかなかの変わり者揃い。売れ残りを毎回回収しにくる婆さん。毎日バナナを大量に買いにくるリアルバナナマンなど、あのBG Mがひたすら流れながらこれなのでカオス以外の何者でもない。

そんな中、気になる男を見つけます。そしてとある理由から近所のボクシングジムに通い始めるのです。やはり、どれだけ錆び付いていた人間でも、何か目標を持つと目つきや顔立ちがガラリと変わる。このどうしようもない一子を演じたのは安藤サクラ。彼女は中々の演技派女優です。最初と最後では同じ役者とは思えないほど違っています。まさにどん底からの拳。決してサクセスストーリーではないものの、それがまたリアルであり多くの人の共感を得たのではないでしょうか。案外人生ってこんなものではないでしょうか。そう考えたら、目標や進路が決まっている人の人生というのはかなり恵まれていますね。

人によっては人生をやり直してみようと思える作品。人生に深い悩みをもつ、もしくは人生を空虚なものと考えている、そんな人にオススメな一品なのかもしれません。それにしても今作、いつまで準新作やねん(笑)
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