このレビューはネタバレを含みます
主人公、一子の生活は酷いものだった。
実家住まいなのに働かず、母の甘さを良いことに食う寝る遊ぶを繰り返し、家族とも衝突三昧で、夜中にゃ人のチャリをパクって汚い格好のまま夜食を買いにゆく…。
18歳ならまだしも、32歳であの様。。
冒頭から暫くの間絶句していた…
年だけとって 中身は中高生のような主人公。
極度にコミュニケーション、自己表現が苦手なもんだから 日々生きるだけで一苦労な様子。
会話すらままならない彼女だが、一生懸命な人に対しては心なしか積極的、好意的であり そんな彼女の一面を見て「いい所あるじゃん、可愛いじゃん」って思ったりもする。
そんな不器用な彼女に様々なイベントが起こる。
稀に良い事もあるが、悪い事の方が多かった。
そのせいか彼女の目はまた何処か曇り始める。
しかし、ある日を境に振り切れた彼女…変わり始めた。そこからの変貌ぶりは凄いもんで、画面に釘付けになったよ。
落ちるまで落ち込んだのなら、一度火が点きゃ後は上がってゆくだけなんだ。
何かを得たいと頑張る姿、その過程で変わってゆく自分と周囲、自分の信念を曲げずに突き進みやり遂げる気概…
序盤の彼女を知っているからこそ、終盤の彼女の姿を見て 溢れそうになる涙を抑えきれなかった。
数字や結果を求められる世の中
勝たなきゃ、負け犬だ
でも…負け組だからって悪いわけじゃない
勝てなくても 良いんだってこと
勝ちたいと思う気持ちが、やるだけやりきることが大切なんだってこと
何かを変えるために必要なのは、数字や結果だけでは無いんだってこと
一子が教えてくれた。
こんなに清々しい気分は久しぶりだ。
良い、映画だな。