MasaichiYaguchi

百円の恋のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.0
演技は改めて体全体で表現するものだと本作を観て強く感じる。
そして安藤サクラさんという一人の女優の凄さ、素晴らしさを再認識した。
彼女が演じたヒロイン・一子は実家でひきこもり生活をする32歳の女。
自堕落な日々でブヨブヨな体を持て余していた彼女を変える二つの出来事が起こる。
一つ目は離婚して出戻ってきた妹との大喧嘩。
二つ目は近くのボクシングジムで黙々と練習する中年ボクサー狩野との出会い。
この二つの出来事により今までの生き方、負け犬のような日々を変えようと彼女は勇気を出して一歩踏み出す。
映画は、一子の恋を軸に変わっていく彼女をユーモアやペーソスを交えてリアルに描いていく。
本作の撮影期間は僅か17日間だったそうだが、一子役の安藤サクラさんの激変が凄い。
ボクサーは試合に合わせてウエイト調整する為に急激な減量をするが、それはとても辛い行為だと思う。
安藤サクラさんはそれを僅か5日間できっちりやったらしい。
一子が狩野と出会って恋をしたことによってボクシングに目覚め、今までの負け犬人生を変える為に真剣に取り組んでいく姿が彼女の体形の変化と共に描かれていく。
映画の終盤で展開されるボクシングの試合はガチンコのド迫力!
中学時代にやっていたとはいえ、安藤サクラさんの七転八起のボクシングは観ている方も燃えてくる。
一生懸命、渾身で取り組めばどんな負け犬だって変われるんだということを、役者の全身全霊の演技で伝える本作品は心の内から熱くなります。