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JOYのkekqのレビュー・感想・評価

JOY(2015年製作の映画)
3.6
ドン底に次ぐドン底からモップ一本で逆転ホームラン!かと思いきや…!?
能天気なテレビショッピングの裏に潜む骨肉の争い。ジェニファー・ローレンスはいつだってキレたりキレられたりがよく似合う。

苦労に苦労を重ね、情熱と根性で成功を掴みとる物語は古今東西いくらでもあるけれど、本作の苦労の圧縮率はひどい。辛い。こんなストレス絶対耐えきれないだろうというのが息つく間もなく襲いかかりすぎる。

なんらかの精神疾患と対峙する困難は「世界にひとつのプレイブック」を踏襲しており、前作同様、疾患に対する眼差しの厳しさと優しさのバランスがとても良い。
病んでいるから何もできない迷惑をかけるだけの存在ではなく、ときに成長し、ときに誰にもできない役割を果たし、でもやっぱり困ったこともする複雑な描き方が、観る側にも絶妙なストレスと安堵を与えてくれる。

口で説明するとストーリーは完全に地味。それをこれほどのスリルと華やかさで彩ることができるのは、卓越した構成とリズム、そして名優の実力を搾り取るように引き出す演出力のなせる業。どうすればこんな脚本が書けるのか。

どんなに閉塞していても、いつか大きな風穴を開けることができるということを教えてくれる映画。ただし、才能と行動力と根性と、運を自力で引き寄せる力があれば。
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