EDDIE

はじまりのうたのEDDIEのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
5.0
すべてのシーンが好き。映画として以上に、愛おしさすら感じる音楽映画の傑作。全米5館上映から口コミで1300館上映まで広がったという逸話にも納得。

不完全ながらも音楽を通して主要登場人物が一回りも二回りも成長していく模様も観ていて凄く気持ちがいい作品です。
何度も観たくなる傑作ってあると思うんです。だいたい3〜4年周期で定期的に観たいっていうものが。だけど、本作はその日のうちに次の日にでも繰り返し観たいと思わせられる不思議な魔力があるんですよね。

主人公は3人(だと考えています)。
キーラ・ナイトレイ演じるシンガーソングライターのグレタ。
マーク・ラファロ演じる音楽プロデューサーのダン。
マルーン5アダム・レヴィーン演じるミュージシャンのデイヴ。
まぁ基本的にはグレタとダンの視点中心なので、この2人が主人公なんですけど、この作品ってデイヴがいないことには成り立たないんですよね。

冒頭ライブバーで曲を披露するグレタの姿を見て、彼女の姿を見つめる髭面のくたびれたおっさんがキラキラした表情を見せているところでオープニングです。
観客は彼女の曲に見向きもせず、1人だけ目を輝かせているわけですね。
この後ダンの視点、グレタの視点の順でそれぞれの前日譚が映し出されて、再びライブバーのシーンに。もうここまでの流れがパーフェクト。2人のこれまで辿ってきた苦労を目にした状態で、同じライブのシーンを見るとこちらの見方が明らかに変わっているんですね。めちゃくちゃ感情移入してしまいます。しかもここの演出が最高!ギター1本で弾き語るグレタ、観客は盛り上がりに欠ける曲に見向きもしませんが、ダンには周りのピアノやドラムが彼女の曲を彩るアレンジメントをするのが見えている演出をするんですね。ここはついついニヤけてしまいます。

あとは劇中に披露される曲がどれも素晴らしい。私はサントラダウンロードして何度も聴いています。
そして前述したデイヴはグレタの恋人なんですが、この2人の関係性がこの作品の肝になる部分。しかも妻子持ちのダンも彼らの関係性と近しいものがあるんですよね。
このそれぞれ立場は違えど似たもの同士という観点が、2人を愛おしいとすら思ってしまう由縁かもしれません。

映画全編を通して好きなシーンだらけなわけですが、レコード会社に聴いてもらうデモテープがないからと、屋外であらゆるアイデアを駆使して、人も予算ない中でアナログに集めて、演奏シーンを録ってしまう一連のシーンがずーっと飽きずに観られるぐらい好きです。子供たちのコーラスとかたまらないんですよね。

恋愛面においてはうまくいかないグレタとデイヴ。だけど、彼らはいかに向き合っていくのかが全く無理なく一つのエピソードとしてまとまっているので、物語の着地点も素晴らしいんです。

あとは彼らを盛り上げる脇役陣。
個人的に大好きなのがジェームズ・コーデン演じるグレタの友人スティーブ。登場シーンが愛くるしいフォルムとキャラクターもあってすべて愛おしいんですけどね、「おいしくなぁーれ」ってとこが本当に好きです(笑)なんのこっちゃって思われると思うんですけど、未鑑賞の方は是非観てみてください!

ダンの娘バイオレット役のヘイリー・スタインフェルドもいい味出してます。父親として不完全なダンと娘の関係性がいかに修復していくかってところに注目していただきたいんですけど、やはり女同士バイオレットとグレタが初対面してからの2人の会話がとても良いです。

そして話は戻ってデイヴですよ。この作品の中で一番頭おかしいやつなんですけど、さすがアダム・レヴィーンというべきか歌唱シーンは文句のつけようがないぐらい全てが満点。彼の歌聴くだけでも観る価値あります。ただ人間としては不完全すぎるやつで、グレタと関係性が壊れていくのもこいつのせいなんですが、ただ憎めないキャラなんですよ。だって浮気した女のために作った曲を彼女に「どう?俺の新曲?」みたいな感じで聴かせるんですよ。
ほかにも新曲聴かせるシーンがあるわけですが、まぁ音楽が好きすぎるが故、あと天然だからの行動なんでしょう。

そんな個性豊かなキャラクターに彩られた作品。このレビューだけで何度愛おしいという言葉を使ったことか(笑)
グレタとダン、グレタとデイヴ、ダンと妻ミリアム、娘バイオレットそれぞれにドラマがあります。
音楽映画好きな方は漏れなく是非ともご鑑賞ください!

※2020年自宅鑑賞87本目