Kenta

はじまりのうたのKentaのレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
4.9
ジョン・カーニー監督の手掛ける長編作品2作品目。
順風満帆だったが、それも長く続かず人生に悲観していた同じ境遇の二人の男女の出会い。音楽業界で有名だった過去を持つプロデューサーをマーク・ラファロ、素敵な歌声を持つが、恋人に翻弄されて傷心のままネガティブになっている女性をキーラ・ナイトレイが演じる。

ニューヨークのあるライブハウス。スティーブは、そこで弾き語りをしていた。それの付き添いで来ていた一人の女性がグレタだ。スティーブは彼女に歌を歌わせるように観客に促し、一曲披露させる。嫌々一曲披露するが、観客は耳すら傾けない。
しかし、その歌唱に異常に反応した一人のだらしない格好の男がいた。彼の名前はダン。彼はグレタの歌の虜になってしまう。
プロデューサーとして失敗し、家庭もうまく築けないダンと、恋人に裏切られ心に傷を負ったグレタの偶然の出会い。ダンはグレタのその一曲で覚悟を決める。そして、グレタをプロデュースするというとんでもない挑戦に試みるのだった…。

ハズレることのないジョン・カーニーの音楽映画。
監督の作品で僕が初めて観たのは、『シング・ストリート 未来へのうた』だった。そして、彼のその作品に夢中になった。今作も『シング〜』と物語の造りが似ているように感じたため、もちろん大好きな作品になった。映画館で観たいがために、あえて放置しており、その時がつい最近やっと訪れた。観ていて気持ちがいい。何度でも観れる作品だ。

スピード感のあるサクセスストーリー。
彼の作品の特徴として、マンネリすることなくストーリーが滑らかに進んでいくプロットがあると思う。とりあえず、細かいことは気にせずに、分かりやすくスッと入ってきやすい構成に思えた。劇中で使われる音楽も物語とうまく融合しており、ただでさえ面白いストーリーも一段と面白さが増していた。中盤で訪れるジェットコースターのようなレコーディングシーンが一番大好き。

快感に思える音楽たち。
様々なシチュエーションをも音楽にする彼らの撮影風景は、羨望の眼差しで眺めてしまった。まるでチームの一員かのようにさえ思える。そして、キーラ・ナイトレイの美声も素晴らしい。「Coming Up Roses」や「Tell Me If You Wanna Go Home」等、何度もリピートしたくなる。そしてなんといっても「Lost Stars」。悲しく儚いが、その物語がこの曲の良さを引き立てる。物語と曲が互いに引き立てあっている。

映画館で観るべき作品の一つ。音楽映画やミュージカル映画が好きな人には、とりあえずオススメできる無難な一作だろう。そして、暗い毎日を明るくしてくれる元気の出る一作でもあると思う。
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