ジョジー

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛のジョジーのレビュー・感想・評価

3.9
舞台は17世紀オランダ・アムステルダム。バブルってどの時代にも、どこの国にもあったんですね。希少なチューリップの球根ひとつで邸宅一軒分の価値があったとか。この映画はそんな「チューリップバブル」を背景にした物語です。(公式HPで分かる程度のネタバレあります)
豪商であるコルネリスは自分とは年齢的にも不釣り合いなソフィアと結婚。孤児だったソフィアは彼に対する愛はなかったものの、一緒に暮らせば情が移るもの。初めて与えられる恵まれた生活に不満はない様子で、年齢差はあるものの仲睦まじい夫婦と感じました。コルネリスが自分たちの肖像画を描いてもらうと言いだすまでは…。
まだ売れない若手画家のヤンが屋敷に呼ばれ、ソフィアと出会った瞬間からもう運命は動き出していた感じ。ふたりがあまりに美しいっていうのもあるんですが、観ててぞくぞくしてしまった!
許されない愛ってやはり魅力なんですが、コルネリスがあまりにも善人過ぎて、気の毒でしかありません…。夫婦の間には3年経っても子どもができないんですが、コルネリスはお年にも拘らず毎夜頑張ってる。子どもがいなくても、せめて自慢できる若くて美しいソフィアとの肖像画を描いてもらおうとしたのだけど…。
屋敷のメイドとして働くマリアと、魚の行商人ウィレムとの恋も並行して描かれていくんですが、途中からソフィアのある計画と大きく関わりを持つことになります。この計画がまたすご過ぎて、ずっとひやひやしてましたよ。
お金持ちになりたいというのはいつの時代も同じですが、好きな人と幸せになりたいという一心でチューリップの投資に手を出してしまった人も多いんだろうなと。
謳い文句通り、“花に狂い、愛に狂う”。花は美しく咲くけれど、いつかは枯れてしまう。熱にうなされるような愛も、いつかは消えていくか、または穏やかな愛に変わっていくもの。
チューリップ熱の時代に翻弄された人々を描きつつ、お金は泡のように消えてしまっても、人の心にあるものは生き続けるんだよと教えてくれてるようで。
とても良かったと言いたいところだけど、個人的には喉につっかえるものがある感じ?! だけど、美しい衣装やセットも歴史劇の見どころですし、ミステリーありの恋愛映画で楽しめました。

原作者デボラ・モガーが脚本も担当しているとのことです。彼女は『プライドと偏見』の脚本家であり、『マリーゴールドホテルで会いましょう』の原作者でもあります。御年70歳でこんな情熱的な作品が書けちゃうなんてすごい。
フェルメールの絵画の世界を小説にしたとのことですが、正にアリシア・ヴィキャンデルは『真珠の耳飾りの少女』の如く、美しく可愛らしかった! 画家ヤンを演じたデイン君も若き日のディカプリオを彷彿とさせるかっこよさでした。コルネリスを演じたクリストフ・ヴァルツがね、本当に善い人で…今まで観た嫌な役とか吹っ飛びましたよ。
後は、医師を演じたトム・ホランダー! 『プライドと偏見』のコリンズさんだーって思いながら観てたんですが、彼の立ち位置っていつも同じ気がする(笑)
ジュディ・デンチ、カーラ・デルヴィーニュ,ザック・ガリフィナーキスも要なシーンで登場してて、豪華キャストだったんだと終わってから気づきました^^;
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