とぽとぽ

チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛のとぽとぽのレビュー・感想・評価

3.0
ストーリーばかり前に前に進んでキャラが置いてかれる。キャラクターそのものを描くというよりはストーリー自体を追いかけるのに必死な印象で濃い筈なのに案外薄味で、何だか調和の取れていないチグハグな印象が拭えない。キャラクターがストーリーが動かすというより、ストーリーがキャラクターを動かしているよう。本来ストーリーよりキャラクターが魅力的じゃないといけないのに本作ではそれが逆な感じで、だから各キャラへの共通性も希薄で感情移入しにくい。ロミオとジュリエットみたいにボタンの掛け違いがそれぞれの人生を狂わせる展開で全員ムカついてくる泥沼バブル。次第にナレーションにすら苛立ってくるし、もどかしさがスゴい!そんな当時のチューリップ熱にうなされた人々を演じる面子は無駄に豪華キャストだし、フェルメールの絵画みたいに凝った衣装・美術で画は綺麗。特に、毎度ながら小悪党イメージで露骨で軽快に下ネタを飛ばす下世話オジサンなクリストフ・ヴァルツは恐らくクリストフ・ヴァルツ史上最高レベルに観客の同情を買いそうな良い奴クリストフ・ヴァルツで驚き。キャラ的にも報われないこいつが一番作中で人間的に成長しているのではないか。ファスベンダーの奥さんになってもアリシア・ヴィキャンデルは揺れる女心を体現して頑張っています。デハーンのおでこは期待したほどデハーンしてませんでした。一方で、例えば薄味キャスト無駄遣いという点ではジュディ・デンチもザック・ガリフィアナキスも、特にカーラ・デルヴィーニュもこの面子じゃなくも良かった感すごい。それでも最後はこれまた案外皆幸せな所に落ち着いていくという点でシェイクスピア作品とは対照的。だから見た後は皆さん自分にとってのチューリップは何かを考えてみよう。

"My soldiers are ready to game."
"If I sink, we sink."
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