ミストスグラチョフ

滝を見にいくのミストスグラチョフのレビュー・感想・評価

滝を見にいく(2014年製作の映画)
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め、め、めちゃくちゃ好きなやつだった!!!!

タイトルバックから紅葉が美しくて眼福。

移動し始めて川渡るところ、渡る人々と橋より手前に木が生えてて、それがちょうど画面中央に配置されてるのでハーフフィルムカメラみたいな構図になっていたところがすごく好きだった。橋を渡っていく彼女たちが左の画面から右の画面へ、異世界へ入っていく感じが出ていて。

リアルなおばちゃんの会話感出すための演出いろいろしてるんだろうけど、なにより音の録り方が良かった。一人一人の声綺麗に聞こえるようにしてないというか、集音マイクで録ってる?専門用語がわからないから上手く説明できないけど……。バスの中の音の響きがリアルで最初からよかった。ボソボソしてて聞こえにくいんだけど、それが良いというか。マンブルコアぽさというか。

極限状態(という言葉を当てはめるにはぬるいのかもしれないが)に置かれた人に見る希望が一番あったかくて澄んでいて良いんだよなと改めて思ってしまう。理性ぶっ飛んで暴言吐きまくるシーンの不快さと、リアルさ。

禁煙した人ほど嫌煙家になるっていう話を以前聞いたことがあって、人間の欲を感じる面白いエピソードだなと思ってたけど、まさにそれだった(笑)(あれ近寄るための初めてのタバコではないよね?吸い方的に)

バスガイドクソすぎワロタ!と途中まで思ってたけど最後ちゃんと同情の余地を残してくれてたのでそれもまた良し。

「只者じゃない」ジュンジュンがミステリアスなままなのも良い……。

ただ腰痛持ちさんが一晩の野宿を経て翌日大縄跳びの縄回しして小走りできるほどに回復してるのだけはフィクションが行き過ぎてると思った。腰に爆弾持ってる人があれだけ歩いて疲労溜まった状態で何もないところで寝たら翌日爆発すると思うよ!!!……という腰痛持ちのくだらない感想を持てたくらいには「リアルなおばちゃんたち」を見ている気持ちになれていたということだと思う。考えてみると劇としての構成めちゃくちゃちゃんとしてるのに、「これはお芝居です」っていう嫌味がなかったというか。ちゃんと騙されてた感。『南極料理人』はもっと劇感が強くて、何気ない会話がセリフになりすぎてる気もしたので(まああれはナレーションもあるし全然違うタイプだからそうあるべきなんだろうけど)、そういう意味ではすごく良かった。

昔オレゴンでキャンプした時、キャンプ予備知識何もないまま森(一応キャンプ場)に行って、「テント立てたら寝れるっしょ!」という軽いノリでテントで寝てみたら寒すぎて寒すぎてとても寝れたもんじゃなかった!ということがあったのだが、野宿のシーンをリアルに感じられるようになったのはあの経験のおかげだと思う……そして星も綺麗だったナァ……。