パンフレットの表紙は日本画を思わせる淡い色合い。
生者と死者の関係を丹念に追っていくストーリーによく合っていてとても美しい。
見終わってふと、思うのは
通りを歩く見知らぬ人が、生者なのか死者なのかは、実は誰も確信できないことなのだということ。
人と人は関係で生きている。
相手が生きていても死んでいても
人間関係は続いていく。
死によって浮かび上がるのは、
その人との関係性。
お互いにどんな風に思い合っていたのかを上手く描き出した作品なのだと思う。
だからこの上なく美しい。
毎朝目覚めて新しく世界と出会い直すように
本当は顔を合わせる度に人はその人と出会い直しているのだと思う。
世界が昨日と同じままだと信じているように、その人との関係も昨日の続きのように思っているのかもしれない。
だけど本当はそうじゃない。
時に喜び、時に傷付け、ほころびが出れば修復し、離れた手と手をつなぎ直す。
長く一緒にいれば一緒にいることの当たり前に慣れてしまうのかもしれない。だけどその関係も終わろうと思えばいつだって思い切りひとつで終わらせられるものだ。
死は一つの通過点でしかない。
一緒にいることはかなわなくなるけれど思い合うふたりを分かつことはない。
誰かを想うその気持ちは、
きっと関係を永遠にする。