赤ちゃんパンダ

岸辺の旅の赤ちゃんパンダのネタバレレビュー・内容・結末

岸辺の旅(2015年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

不在と宗教の話(だと私は思った)。

「幽霊なんて非科学的なモノいるわけないじゃない!」と言いたいわけではないし、おまえはすっかり科学的合理主義に毒されていると言われればそれまでだけれど、私はこの旅はほんとうは全編みっちゃんが一人で旅している映画だと思った。
いるとしたら、と、いるという想像をして、夫を知っている人を訪ねて話を聞いて、本当だったらもう一度したかったことをして、本当だったら話したかったことを話す疑似体験を自分の中で重ねながら、死別にしろ失踪にしろ自分の前からいなくなってしまった人を自分の中で葬る話だと思った。

…って思ったけど、死んだ人だって現世に未練がある場合もあるもんなぁ。でも「死んだ人が現世に未練を残してくれている」「そして幽霊として自分の前にあらわれてくれる」というのもまた生きている人が生きていくための宗教である気もする。

物語序盤の新聞配達屋での最後の方のシーン、廃墟、埃を被った切り抜きやハサミ、そこに一枚だけ残った鮮やかな色の花、壁の切り抜きが一枚ずつはらはらと落ちていくシーンはよかった。アンゲロプロスっぽさがある。
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