スティーブ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のスティーブのレビュー・感想・評価

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かつてアメコミヒーロー《バードマン》として映画界で一世を風靡した役者が、NYの舞台で再起をかける話。画の録り方がおもしろいと当時話題になっていたけど、まさにその通りだった。ひたすら長回しであるかのような画が続き、その中で人物が入れ替わり立ち代わりしながら群像劇のように話が進む。やがては現実と虚構の境目さえも曖昧になっていく。ストーリーも共演者マイクの独断や、娘サムとの不和など、問題が山積みで飽きさせない。話が進むにつれて、どんどん観念的な方向性へ足を踏み入れていくのだけど、それでも決定的なところで現実感を失わない抜群のバランスと独特の画作りで先が気になって仕方なく、画面から目が離せなかった。アカデミー最多ノミネートもむべなるかなの秀作。おもしろかった。余談だけど、舞台裏を舞台にしているということで、ダニーボイル版の『スティーブ・ジョブズ』を思い出した。