Niwa3

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のNiwa3のレビュー・感想・評価

3.8
Bird man (the unexpected virtue of ignorance)

公開日…2014.10.17(米国)
配給…20世紀FOX
上映時間…119分

監督…アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

出演…マイケル・キートン
ザック・ガリフィアナキス
エドワード・ノートン
エマ・ストーン
ナオミ・ワッツ

受賞…アカデミー賞作品賞、監督賞他

テーマ「自己存在と復活」

主人公リーガン・トムソン(マイケルキートン)は落ち目のハリウッド俳優。過去の出演作バードマンのヒットから時が経ち、今ではもはや注目を浴びる事すらない。
そんなリーガンがNYのブロードウェイにて再起を図ろうともがく。

映画の大きなテーマは「存在」
リーガンは自己存在を確かめる為にブロードウェイで再起を図る。
一方、マイクは舞台の上で自分をさらけ出すことこそが自己の存在意義であり、リアルを追求する。
映画の中で通常インポテンツであるマイクが演技中に猛烈に勃起するシーンがあったが、このシーンこそ舞台上での存在感・リアルを比喩したものである。
またリーガンの娘サムは自分の存在を父から蔑ろにされていると感じ、薬に走る。
その他のキャラクターも皆自己の存在に対して葛藤している。

二つ目のテーマは「復活」
劇中、何度もリーガンが超能力者であるかのような演出がある。
ただそれを否定する(あくまでリーガンの妄想であるとする)シーンも存在。視聴者に対し超能力はあくまでリーガンの妄想であると印象づける。しかしラストシーンにてサムが窓から空を見上げるシーンでリーガンが空を飛び回っているという事を示す。
復活=キリスト
自殺を試みるが鼻を欠損するのみで済んだリーガン。更に舞台公開後、一躍時の人となり、名声も復活。空を飛ぶ時のポーズも十字架を示唆?

撮影技術としては映画を通して用いられている長回し。
舞台を描いた映画として臨場感、リアルタイムな感覚を与える。

鑑賞後、自殺幇助映画かと思ったがラストシーンのサムに救われた。
主演のマイケル・キートンの名演が光る。富も名声も手にしながらも葛藤する主人公に対し人間の欲ぶかさ、尽きることのない悩みを感じた。劇中サムが薬物更生施設にて行ったという地球の歴史をトイレットペーパーに刻むというもの、暗に上記のようなハリウッドスターの悩みを揶揄している?
実際にリーガンは人々に忘れ去られている訳ではなく、(街を行けば次々と声をかけられる。)情報ツールであるSNSや動画サイトでの発信を避けている。注目を集めたいという思いと上記ツールを用いようとしない矛盾。

注目を集めるのではなく、役者として復活したい、存在を示したいという思い。
Niwa3

Niwa3