スーパーヒーロー『バードマン』役で一世を風靡した主人公の、落ちぶれた現在から再起をはかる苦悩と葛藤を描いたヒューマンドラマ。
驚いたのは、ステージ・舞台裏・楽屋・劇場の外などの空間の移動から、朝晩の時間の経過までずっと1カットの長回し。
さらに、現実から妄想の世界も境界なく出現して、新感覚の映像にとにかくびっくりでした。
現実と虚構がない交ぜになったカメラワークの技法の一つの集大成というか極致というか、音楽も含めて不思議な感覚になる初めての映像体験でした。
ただ、映像がスゴすぎてストーリーにはちょっと入っていきにくかったです(^^;
ドタバタハプニング系で主人公リーガンの冴えなさが面白いし(特に、終盤の劇場の外を歩くのはとんだ災難w)、舞台裏で繰り広げられる、リーガンの苦悩や葛藤、人間関係やそれぞれの心の裏側の描写にも圧倒されましたが、カメラワークそれ自体の方が印象的で、「あ、これは妄想だったか!」などなどついていくのに必死になってしまいましたw
バットマンをかつて演じたマイケル・キートンが言うからこその重みや可笑しさが出るセリフ。
評論家やネットの批評に対する痛烈な批判も熱がこもってて考えさせられました。
あと、ちょっとよくわかんなくて調べてしまったんですが、ナオミ・ワッツはずっと売れなくてレズビアン役を演じた作品でやっとブレイクしたとのことで。
それがわかると、彼女のセリフも深みが出て「?」だったシーンの謎が解けました。
舞台で演じようとしてる作品は、全然舞台化に向いてない作品。
それを舞台化してやるっていう、批評するにも値しない無知からくる愚かしさ。
しかしその無謀なバカバカしさも、突き進んで突き抜けると理論を超えた奇跡をも巻き起こす。
『バードマン』である過去の自分との闘いと決着。
ラストの衝撃的展開や、あれこれ考えさせられる長〜い1カットの終着点。
とても独特な深い作品でした!
★シリーズ終了から20年、今も世界中で大人気のスーパーヒーロー『バードマン』。
その役で一躍スターになった主人公リーガンは、今は仕事も家族も失ってどん底状態。
再起をかけたレイモンド・カーヴァーの小説『愛について語るときに我々の語ること』の脚色・演出・主演でブロードウェイの舞台に立とうとするが、破天荒な実力派俳優に脅かされ、薬物中毒の娘との溝も深まるばかり。
果たして彼は再び成功を手にし、家族の愛と絆を取り戻すことができるのか、、?