うめまつ

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のうめまつのレビュー・感想・評価

5.0
この映画に会えて本当に良かった。嬉しくて嬉しくて言葉にできないから今日はオフコース日和。撮影が神がかってるとか、音楽が格好良いとか、演出が冴えてるとか、台詞の旨味が凄いとか、配役が絶妙とか、クレジットが洒落てるとか、どうやって撮ってるのこれとか、エドワードノートンやっぱ好きとか、さっきから頭の中に浮かぶ言葉は全部「面白い」の波にさらわれてしまう。見終わった後あまりの興奮に窓から身を投げ出したくなったからある意味危険な映画だ。ベランダの鍵はちゃんと閉めてから見るべし。

痺れるジャズドラムと滑らかなカメラワークが導く物語は、計算され尽くしてるであろうに即興演奏を聴くようなスリルがあり、画面の中で起こる一見突拍子もないこともくだらないことも意味がわからないこともすべてが必然で、鼻先で起こっているような臨場感があった。ひとつでも欠けたらバラバラに崩れる千ピースの生パズルを繋げて行くみたいで、最後にどんな絵が浮かび上がるのか全然わからなくてワクワクした。何度もここがクライマックスか?と身構えた。そして何度目かの正直で訪れるラストは大好きな幕引きだった。私がもし映画を撮れるならこんな余韻を残したいと思えるほどに。

一口に言ってしまえば〝過去の栄光を忘れられないおじさんがひと花咲かせようとする奮闘記″なのに、まだまだこんなに新鮮で豊かで見たことないのにボディスーツみたいにぴったりくる作品があるなんて、私の映画人生も全然これからじゃんなんて思えて(アカデミー賞獲ってる作品に今更すみません)、この先もこんな予期せぬ奇跡をもたらすために、映画に対してはなるべく無知で居たいと思う。私は批評家じゃなく純粋な観客で居たいのだ。
うめまつ

うめまつ