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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)のnamのレビュー・感想・評価

3.8
「ワンカット演出による落ち目の俳優の苦悩と葛藤」

2014年度のオスカー作品賞や主要部門を含む4つの部門で受賞。

何と言っても特徴はワンカット演出で編集と撮影の工夫により映像が繋がって見えるようになってます。それにり現実や妄想、本番や舞台裏の境界を曖昧にし、全てが1つの世界である事をより強く印象付けおり、映像への没入感も凄まじかったかと。

技術的にもかなりの苦労が見られるのでその技法だけでもとても素晴らしいです。
ただ肝心のストーリーは落ち目の俳優の舞台で返り咲きを描いてますが、あまり惹かれなかったのが正直な所で、落ち目の俳優リーガン(マイケル・キートン)の内面に寄り添った演出は良いものの、ストーリーの起伏には物足りなさを感じてしまいました。

ただかつてパッドマンを演じたマイケル・キートンを劇中でも同じような役柄でキャスティングし、現実の彼とも重ねたり、実名の俳優名が多く出たり、大衆向けの作品やアメコミ作品など昨今の映画業界への風刺など現実と重なる部分が多かったのも"現実と虚構を曖昧にする"作品の演出ともマッチしていて良かったかと。

魂の込もったマイケル・キートンの演技力も素晴らしかった。
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