このレビューはネタバレを含みます
深町は何がしたかったのか、しようとしていたのか、したくなっていたのか。
そこがわからなかった。
描けていないのか、受け取れていないのか、、、
羽生は挑んだ。
それに深町はついて行ききれなくなった。
落下し、諦めたところを羽生に助けられ、自分にはできないと思い知ったから。
そんな羽生でも「逃げ出さないように俺を撮れ」と深町に言った。
スプーンを持った手が震えるほどの恐怖。それとも武者震いか。
羽生が人間ではなしえなかったコースに挑戦している姿を望遠レンズで捉えた深町。
山の異変に気付き大声で知らせようとするが、その声は届かず、羽生は吹雪に包まれていった。
そこでシーンが日本へと飛ぶ。
岸涼子と公園かで話すシーンに。
羽生の生還を確認できなかったからなのか、深町は羽生は死んだものだと確信していたということだと思う。深町としては逃げ帰ってきたことになっていて、途中で引き返したから写真もそれ以降は撮れていない。でももう撮るべき被写体はいない。
喪失 敗北
途中まで撮っていた羽生の写真に何の意味も価値もなく、燃やす。
何をしに再びエヴェレストに戻ったのか。
戻らざるをえない「何か」が描ききれていなかったのではないか。だから、深町が再びエヴェレストに行った時に「ポカーン」としてしまった。
そして羽生の声とのやり取り。
小説では成り立つが、映像ではしらけてしまう。だからクライマックス部分がどうも胡散臭くなってしまっていた。
そこが悔やまれる。